将来どのくらいの確率で脳梗塞や心筋梗塞になるのか
気になりませんか?自分がどのくらいの確率で病気になるのか。
糖尿病患者様に限られてはいるのですが、自分がどのくらいの確率で脳梗塞や心筋梗塞になるのか の予測式が新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科分野の教授の曽根先生により発表されました。
インターネット上で、数値をいれていくだけですので、そこまで難しくありません。
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例えば、外来でよくみかける、男性、72歳、170cm、62kg、網膜症なし(=目は正常)、心房細動という不整脈はなくて、運動習慣もなくて、たばこも吸っていない糖尿病歴15年の患者様の場合。
直近の検査結果でHbA1cが7.3%、血圧が136/72、総コレステロールが220、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が38、尿中のアルブミンが120 だった場合には(?これらの数値は医師に聞けば教えてくれます!)、下のような予測になります。
表の縦軸が、病気になる確率です。上の表だと、
冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)・・13%くらい
脳卒中(脳梗塞とか脳出血など)・・14%くらい
非心血管死亡(心臓病以外での死亡)・・9%くらい
正直、例にあげたような患者様はよく外来におられて、どちらかというと「あまり心配いりません。まだまだHbA1cもいいし、血圧もぼちぼちだし、このままお薬は変更せずにいきましょうか」というタイプの患者様なんですね。
そんな患者様が、10年もすれば、まさか心筋梗塞や脳梗塞や、場合によっては死に至る可能性までもがそれぞれ10%近くもあるなんてショック・・・です。
近年、糖尿病のお薬で、SGLT2阻害薬という飲み薬(例えばジャディアンス®とかカナグル®)とか、GLP1アナログ(例えばビクトーザ®とかオゼンピック®)という注射薬を3年程度使用すれば、心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳梗塞を10-25 %程度予防してくれる という臨床試験が相次いで報告されました。
自分が診させていただいている患者様には元気で長生きして欲しいので、SGLT2阻害薬であるとか、GLP1アナログという薬をどうしても勧めたくなってしまいます。
■参考文献
N Engl J Med 2016; 375:311-322 (ビクトーザ®を用いたLEADER試験)
N Engl J Med. 2016; 375: 1834-1844(オゼンピック®を用いたSUSTAIN6試験)
N Engl J Med 2015; 373:2117-2128(ジャディアンス®を用いたEMPA REG 試験)