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慢性腎臓病

目次

慢性腎臓病(CKD)とは?

慢性腎臓病(CKD)はどれくらいの患者さんがなっているの?

慢性腎臓病(CKD)になる理由は?

慢性腎臓病(CKD)はなぜ悪いの?

慢性腎臓病(CKD)の治療はどうするの?

慢性腎臓病(CKD)の食事療法はどうするの?

透析について

 

慢性腎臓病(CKD)とは?

腎臓は腰のあたりにある、にぎりこぶし大(約10cm)のそら豆の形をした臓器です。主な役割は、血液から老廃物や余分な水分をこしとって(濾過して)、尿として排泄するという、下水処理場のような働きをしています。

腎臓の構造が傷つくと、老廃物を処理する力が落ちてしまったり、尿中に蛋白や血液が漏れ出てしまい、尿検査で異常がでてしまいます。

この状態が長く続くことを慢性腎臓病と呼びます。

日本腎臓学会では、慢性腎臓病の定義を、下記のいずれか、または両方が3ヶ月以上続いている状態 と定義しています。

①たんぱく尿(微量アルプミン尿を含む)などの尿異常、画像診断や血液検査、病理所見で腎障害が明らかである状態

②血清クレアチニン値をもとに推算した糸球体濾過量(eGFR)が60ml/分/1.73㎡未満の状態

ここで記載されている糸球体濾過量(eGFR)は、老廃物を処理する力と考えていただくとわかりやすいと思います。

また、腎臓病の重症度は以下の5段階にわけられており、ステージ1が最も軽く、ステージ5が最も重症です。

CKDステージ 糸球体濾過量(eGFR) 症状
ステージ1 90以上

自覚症状はほぼない。

蛋白尿がでたり血尿がでる

ステージ2 89~60

自覚症状はほぼない。

蛋白尿がでたり血尿がでる

ステージ3 59~30

夜間に何度もトイレにいく。

血圧が上昇する。貧血になる。

ステージ4 29~15

疲れやすくなる。むくみがでる。

ステージ5 15未満

食欲が低下する。吐き気がする。

息苦しくなった尿量が少なくなる。

 

腎臓は下水処理場の働き以外にも、

体内の水分量を調節したり、血液(赤血球)を作る働きを助けたり、骨を保つビタミンDを作ったり、体液中の成分(塩分やカリウムなど)を適度な状態に整えたり、血圧を調整したりしているので、腎臓が慢性的にダメージを受けると体がむくんだり、貧血になったり、骨に関連した異常(骨粗鬆症)になったり、高血圧になります。

ここでよく誤解されているのが、足がむくむのは、水分を摂りすぎたことが原因」 と考えがちなのですが、「足がむくむ本当の原因は水分ではなく塩分である」ということを覚えておいてください。

 

まとめ 腎臓の5つの役割

①老廃物を体の外に排泄する

②体液量やイオンバランスを調整する

③血圧を調整する

④血液をつくる指示をだす(貧血をなおす)

⑤骨を強くする

慢性腎臓病(CKD)はどれくらいの患者さんがなっているの?

患者さんは1330万人(成人の8人に1人)いると考えられています。

慢性腎臓病(CKD)になる理由は?

加齢、糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、肥満 など、様々な原因が考えられています。

これらが原因で腎臓が徐々に痛み、老廃物が体に蓄積したり、貧血が進んだり、体液量のバランスが崩れることでさらに腎臓に負担がかかる という負のスパイラルに陥ります。

慢性腎臓病(CKD)はなぜ悪いの?

慢性腎臓病は透析の予備軍と考えられています。

また慢性腎臓病があると、心筋梗塞や脳卒中になりやすいと言われています。

慢性腎臓病(CKD)の治療はどうするの?

慢性腎臓病の治療は、

①原因への対処:糖尿病高血圧高脂血症高尿酸血症肥満 など

②腎臓病による合併症への対処:貧血、体のバランス異常、骨に関連した異常(骨粗鬆症)、狭心症、心筋梗塞、脳卒中 など

に大別されます。生活習慣が大切なことは言うまでもありません。

ここでは血圧、貧血、生活習慣について述べたいと思います。

 

●血圧

蛋白尿がある人,または糖尿病のある人

☞130/80mmHg未満(家庭血圧125/75mmHg未満)を目標

それ以外の人は

☞140/90mmHg未満(家庭血圧135/85mmHg未満)を目標

ただし、血圧を下げ過ぎる(上の血圧110mmHg未満)ことも要注意で、血圧の下がりすぎはふらつきや失神、心筋梗塞や腎臓病悪化を起こします。

●貧血

腎臓病による貧血を治療するためにはエリスロポエチンという薬を皮下注射したり、最近新しくでたHIF-PH阻害薬という薬を飲んだりします。

これらの治療により、貧血が改善されると、疲れ やすい・動悸・息切れ・めまいといった症状が改善されます。

 また早期から貧血の治療を行うことで慢性腎臓病の悪化を防止できること が報告されています。

●仕事・運動

過度な肉体労働は避けた方が望ましいと考えられますが、適度な運動は問題ありません。

●薬物

解熱剤・痛み止め(例えばロキソニンやボルタレン)や一部の抗生剤、画像検査などで使う造影剤は腎臓を悪くする可能性があります。

また漢方薬や健康食品でも腎臓を悪くすることがありますので、これらのお薬を飲むときには、あらかじめ相談をしてください。

●脱水・溢水 体重管理

体の中の水分は少なくても(脱水)、たまりすぎても(むくみ)よくありません。

体の中の水分の指標として体重が重要であるため、毎日決まった時間に体重を測り、体重がある程度一定になるように心がけてください。

●禁煙

喫煙は腎臓を悪くするため、禁煙が原則です。

●飲酒

日本酒1合程度の量であれば腎臓を悪くするということはありません。ただし、おつまみなどには多量の塩分が含まれており注意が必要です。

 

慢性腎臓病(CKD)の食事療法はどうするの?

慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版では以下のように推奨されています。

つまり、ポイントとしては

 その① たんぱく質、リンの制限

 その② 十分なエネルギーの確保

 その③ 減塩

 その④ カリウムの制限 となります。

詳しくは医師、看護師にお尋ねください。

 

透析について

慢性腎臓病が最終段階になると、生命を維持するために透析や腎臓移植などの腎代替療法が必要となります。

透析には血液透析と腹膜透析の2種類があります。

①血液透析

血を一旦外に出して機械できれいにした後、体に戻す方法です。

1回3~4時間、週3回必要です。1分間に約200ml(牛乳瓶約1本分)の血をとる必要があるため、血液透析をするためにはあらかじめシャントをつくる手術が必要です。手術をしてから透析ができるようになるのに約2週間かかります。

②腹膜透析

手術でお腹の中に管を入れて、そこから1.5~2Lの液をいれて、一定時間ためることで腹膜から毒素などを排出する方法です。

お腹の中は清潔である必要があるので、液の交換やカテーテルが入っている部分は清潔にする必要があります。

カテーテルをいれるための手術が必要です。カテーテルを入れてから十分な透析を行うには1~2週間かかります。

 

血液透析、腹膜透析、腎臓移植はどれも総合病院で行う必要がありますので、必要な場合は北播磨総合医療センターや神戸大学に紹介することが可能です。

 

■参考文献

日本腎臓病協会ホームページ(もう少し慢性腎臓病を詳しく知りたい方へおすすめです)

NPO法人腎臓サポート協会 腎臓病なんでもサイト

慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版

Go AS, et al. N Eng J Med 2004:1296-1305

 

 

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