糖尿病と歯周病
近年、歯周病は糖尿病の合併症のひとつといわれています。
目次
歯周病とはなんでしょう?
歯周病は、 慢性感染症といわれています。
感染を引き起こしているのは、歯と歯や歯ぐきの間に住み着く細菌で、 その細菌の塊をプラークといいます。
このプラークに接している歯肉は様々な刺激を受けて炎症がおこり、歯周組織を徐々に蝕んでいきます。
ほとんどの場合、痛みはありません。進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐき の境目が深くなり、歯を支える土台が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯をしなければいけなくなってしまいます。
糖尿病で歯周病になりやすいのはなぜ?
原因として、以下の3つが考えられています。
①口の中が乾燥する
血糖値が高くなると、尿がたくさん出ます。その結果、体内の水分が減少するとともに、唾液の分泌 量が減り、喉や口の渇きが現れます。唾液には歯周病の進行を防ぐ効果がありますが、分泌量が減少し口の中が乾燥するため、歯周病の原因菌が繁殖しやすく、歯周病が進行しやすい環境になっていると考えられます。
②唾液などの糖分濃度が高くなる
口の中は常に唾液や歯肉からの浸出液で潤っています。これらの液体はもともと血液から作られています。血糖値が高いということは、唾液や滲出液の糖分濃度も高くなります。そのような状態は、歯周病の原因菌の繁殖 に 適してしまいます。
③細菌に対する抵抗力が低下する
高血糖では、細菌を殺す好中球(白血球の顆粒球の一つ)の働きが低下することが分かって います。
そのため感染防御機構が十分に機能しなくなるため、感染症にかかりやすくなります。
歯周病で血糖値が上がるのはなぜ?
歯周病は慢性感染症です。治療を継続していないと、細菌の活動を封じ込めることができません。
毛細血管から細菌が入り込み、菌血症を起こすこともあります。 また、インスリンの働きが阻害され、「インスリン抵抗性」という状態を生じさせます。その結果、血糖値が上昇していきます。
慢性感染症である歯周病を放置すると、体は常に「インスリン抵抗性」の状態になっていると考えられます。
日常でできることは何か
歯周病も糖尿病と同じく、生活習慣病です。
歯磨きがきちんとできていないことや、喫煙、糖分の多いものを好んで食べたり、間食を取り過ぎるなどの食習慣、口呼吸、精神的ストレスなどが歯周病へと繋がってしまうのです。
血糖コントロールが良好である場合、歯周病の起こりやすさは、糖尿病でない人とあまり差がないといわれてます。
日頃から歯磨きなど、口の中の清潔を心がけることも大切です。また、かかりつけの歯科をもち、定期的な健診を継続されることも大切といわれています。
糖尿病と歯周病の負の連鎖を、断ちきっていきましょう。
■参考文献
糖尿病ネットワーク「糖尿病とお口の健康」
糖尿病情報センター「 歯周病と糖尿病の深い関係」