糖尿病の治療目標
糖尿病の治療目標とは?
糖尿病の治療目標は、「健康な人と変わらない人生」を送ることにあります。
糖尿病であることで、いわれのない差別や不利益を被ることはあってはなりません。そしてなにより、糖尿病の合併症をおこさないことが重要になってきます。
合併症を起こさないためには、血糖・体重・血圧・コレステロール値をある程度良好に保つことが秘訣となりますが、一方でそれらの数値ばかりにしばられることもよくないと考えています。
例えば、糖尿病の数値を気にしすぎて毎日毎日我慢して粗食ばかり食べたり、友人のランチのお誘いを断る ということは、糖尿病は克服できたとしても人生の楽しみ という点では必ずしも満足のいくものではないかと思われます。
糖尿病専門医としての腕の見せ所は、本人の人生観や治療の希望を最大限かなえつつも、一方で患者様の健康を最大限に守ることにあります。そしてその手段として運動療法や食事療法でまかないきれない部分はどうしてもお薬 という手段に頼らざるを得ませんが、お薬が経済的にも精神的にも、手間暇もなるべく負担にならないように配慮する姿勢こそが重要であると考えています。
専門医にしかできない糖尿病治療がありますので、今の治療にお悩みの方は一度ご相談ください。
ここで、数値としての糖尿病の治療目標を知りたい方もおられると思いますので、日本糖尿病学会が定めている目標値を提示しておきます。
(ア)高齢者でない糖尿病患者様のコントロール目標
重要なことは、糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症などの合併症を予防するためにはHbA1c7%未満(血糖値に換算して食前血糖が130mg/dl未満、食後2時間血糖が180mg/dl未満)が達成目標となることです。
(イ)高齢者の糖尿病患者様のコントロール目標
重要なことは、高齢者の場合はなにがなんでもHbA1c7%未満を目指す ということではなく、年齢・罹病期間・臓器障害、サポート体制、低血糖の危険性などに加え、認知機能や基本的 ADL(入浴や排泄、食事を食べるなど)、併存疾患などを総合判断して個別にオーダーメイド治療する ということです。
なにより加齢に伴って重症低血糖の危険性が高くなり、重症低血糖が突然死の原因となっていることから、重症低血糖は絶対に起こしてはなりません。
■参考文献
糖尿病治療ガイド2020-2021