メニュー

アルツハイマー型認知症

目次

アルツハイマー型認知症とは?アルツハイマー型認知症と物忘れはどこが違うの?

アルツハイマー型認知症はどれくらいの患者さんがなっているの?今後の推移は?

アルツハイマー型認知症の症状は?中核症状と、行動・心理症状(BPSD)について

アルツハイマー型認知症の治療はどうするの?

アルツハイマー型認知症患者様のご家族様ができること

アルツハイマー型認知症の薬は一生飲まないといけないの?

アルツハイマー型認知症とは?アルツハイマー型認知症と物忘れはどこが違うの?

アルツハイマー型認知症は、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞が減少して脳の一部が萎縮していく過程で、正常にはたらいていた記憶力や理解力、判断力などの認知機能が次第に低下し、日常生活にさまざまな支障をきたすようになる病気です。

ポイントは、認知症=「日常生活に支障をきたす」です。

加齢にともない、もの忘れが目立ってくるというのは誰しもが感じることです。

加齢によるもの忘れと、アルツハイマー型認知症によるもの忘れの一番大きな違いは、
加齢によるもの忘れは「お昼ごはんに何を食べたか思い出せない」など、出来事の一部を忘れます。

しかしアルツハイマー型認知症によるもの忘れの場合「お昼ごはんを食べたこと自体」、つまりその出来事全体が記憶から抜け落ち、忘れてしまいます。

  加齢によるもの忘れ 認知症によるもの忘れ
体験したこと 一部を忘れる。ヒントがあれば思い出せる
(例)朝ごはんのメニュー
すべてを忘れている。ヒントがあっても思い出せない。
(例)朝ご飯を食べたこと自体
もの忘れの自覚 ある ない
探し物に対して (自分で)努力して見つけようとする 誰かが盗ったなどと、他人のせいにすることがある
日常生活への支障 ない ある
症状の進行 極めて徐々にしか進行しない 進行する

初期は、加齢による単なる物忘れに見えても、だんだんと仕事や家事など普段やってきたことでミスが増える、お金の勘定ができなくなる、慣れた道で迷う、話が通じなくなる、憂うつ・不安になる、気力がなくなる といった症状が出現します。

アルツハイマー型認知症はどれくらいの患者さんがなっているの?今後の推移は?

高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加しています。

「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人となっており、6人に1人程度が認知症有病者と言えます。

また今後も認知症患者数は増加の一途をたどると考えられています。

一方で、若くても、脳血管障害やアルツハイマー型認知症のために認知症を発症することがあり、65歳未満で発症した認知症を若年性認知症といいます。若年性認知症者数は、3.57万人と推計されています。

 

認知症数の推移(予測)

 

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、報告にもよりますが認知症全体の6割前後を占めています。

 

アルツハイマー型認知症の症状は?中核症状と、行動・心理症状(BPSD)について

アルツハイマー型認知症の症状には大きくわけて2つあります。

1つめは、「中核症状」とってほとんどの患者様にみられ、認知症の進行とともに徐々に強くなります。

もう1つは「行動・心理症状(BPSD)」といって、イライラしたり、うつっぽくなったりすることです。これはすべての患者様にみられるわけではなく、環境や家族の接し方によって、軽くなったり、強く現れることもあります。

 

♠中核症状

・数分前、数時間前の出来事を忘れる

・同じ内容の話や質問を繰り返す

・財布や鍵を置いた場所を思い出せない

・日付けや曜日がわからない(見当識障害 といいます)

・スイッチの消し忘れが増える

・きちんと薬が飲めなくなる

・季節にあった服装ができなくなる

・仕事や家事の要領が悪くなる(実行機能障害 といいます)

・通いなれた場所で道に迷う

 

♠行動・心理症状

  • アパシー…意欲が低下して、何事にも無関心になり引きこもりがちになる状態
  • 不安……認知機能の低下を自覚して不安になる。そのことでイライラしてストレスがたまる
  • 徘徊……目的や道を忘れるなどして歩き回る状態
  • 不眠……昼間にウトウトしてしまうために起こる昼夜逆転等
  • 妄想……事実でないことを事実であると信じこむこと。

 

アルツハイマー型認知症の治療はどうするの?

残念ながら、アルツハイマー型認知症は緩やかに進行します。

現時点ではアルツハイマー型認知症により失われた記憶や機能を回復させ、病気を完全に治すお薬はまだありません。病気の進行をできるだけ遅らせて、本人が少しでも長くその人らしく暮らせるように支えること、そして家族の介護の負担を軽減することが治療の中心となります。

♠薬による治療

大きく分けて、2つの系統のお薬があります。

①コリンエステラーゼ阻害薬☞神経伝達物質の減少を抑え、情報伝達をスムーズにするお薬です。

②NMDA受容体拮抗薬☞記憶の情報伝達を整えて、神経細胞を守るお薬です。

これらを単独で、もしくは併用して、認知機能の低下を少しでも遅らせたり、行動・心理症状を少しでも緩和していくことになります。

♠薬以外の治療

認知症と診断されても、本人にできることはたくさん残っています。「認知症だからなにもできない、ミスばかりする」と決めつけず、本人ができることは積極的に本人にしてもらい、家庭内や地域で本人の役割や出番を作って、前向きに日常生活を送ることが大切です。

一緒に買い物に行く、食器を片付ける、洗濯物をたたむなど簡単なことでも構いません。本人の役割や出番を作りましょう。

それによって、 ご本人の自尊心が保たれますし、 いきいきした生活を営むことにつながります。
社会や家庭のなかで今も役割を果たせている、と自信をもっておられる方は、 認知症が進んでも困った症状(BPSD) を起こしにくいものです。

回想法

認知症の本人は、最近の出来事を思い出すことは苦手ですが、若いころの思い出など、昔のことを思い出すことはできます。

そこで、昔の苦労話や自慢話をしてもらい、共感をもって聞くことで、一体感が生まれ、認知機能が高まると考えられています。

若い頃に住んでいた場所を訪れる、若い頃にみた映画やテレビ番組を改めて鑑賞するなどの方法も回想法に含まれます。

認知リハビリテーション

音読、聞き取りや計算問題などのドリルは脳の活性化に役立つと考えられていますが、本人が積極的でないときに強要すると、かえって逆効果になることがあります。

音楽療法・園芸療法

音楽を鑑賞したり、演奏すること、花や野菜を育てることは、感情の安定や自発性の改善に役立ちます。

ご本人がよく聴いていた音楽をBGMで流すだけでもリラックス効果が期待できます。

 

その他にも、家族以外の人たちと交流すること、絵画や陶芸などを楽しむこと、囲碁、将棋、麻雀などを楽しむこと、ウォーキングなど軽い運動を続けること、ペットを飼うことなども脳の活性化につながります。

アルツハイマー型認知症患者様のご家族様ができること

食事

自分の口から食べさせることで、脳の活性化にもつながります。いつもの場所でいつもの時間で食べることも大切です。
良質なタンパク質、緑黄色野菜を中心にバランスの良い食事を摂りましょう。食事の際に注意したいのは「むせ込み」。患者さんは噛む力や飲み込む力が弱くなっていますから、食べ物の大きさや硬さに気をつける、飲み込みやすいように「とろみ」をつける等の工夫も必要です。また、口腔ケアも病気の進行を和らげるといわれていますので忘れずに行いましょう。

入浴

浴室内での転倒には最大限の注意が必要です。滑り止めのマットを敷く、手すりを手前に設置するなど、浴室の環境を見直しましょう。

上手な声かけ

突然の行動に苛立ったり、戸惑ったりして、つい感情的になってしまうことも少なくないかもしれません。
そんなときには声を出す前にひと呼吸おくことを心がけましょう。ゆっくりと本人の正面から話しかけることが、安心に繋がります。
また、ちょっとした一言でご本⼈もご家族もリラックスできます。
「しかる」「批判する」「間違いを指摘する」はできるだけ避けましょう。

<声かけ例>
  • 着替えにとまどっているとき→「ゆっくりでいいですよ」
  • ご飯を食べない→「一緒に食べましょうか」
  • 同じことを何度も聞く→「(予定等を)ここにも書いておいたから」
  • 私の財布を盗ったと騒ぐ→「それは大変!」
  • 家の中でじっとしていられない→「ちょっとひと休みしませんか」等

アルツハイマー型認知症の薬は一生飲まないといけないの?

 

基本的には副作用がよほど強くない限り、飲み続けることがよいと考えています。

それが本人、ご家族様の希望や安心材料となっている場合も多いと考えます。

例えば寝たきりになったり、食事が摂れないくらい身体の状態が悪くなったときに、お薬を中止する提案をさせていただく場合もあります。

 

■参考文献

生命保険文化センターホームページ

内閣府「平成29年度版高齢社会白書」

厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME