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高尿酸血症、痛風

目次

高尿酸血症とは?

高尿酸血症はどれくらいの患者さんがなっているの?

高尿酸血症になる理由は?

高尿酸血症はなぜ悪いの?プリン体、痛風とは?

高尿酸血症・痛風の予防・治療はどうするの?

尿酸が高くならないように、生活習慣ではなにを気をつけるか

尿酸の薬は一生飲まないといけない?

 

高尿酸血症とは?

高尿酸血症とは、男女とも血清尿酸値が7mg/dl以上を認める状態です。

 

高尿酸血症はどれくらいの患者さんがなっているの?

わが国の痛風患者数は増加傾向にあり、2019年時点では推定125万人とされています。

成人男性では20%以上が高尿酸血症の基準に当てはまるといわれています。

成人女性で高尿酸血症があるのは5%未満であり、女性よりも男性が圧倒的に多くなっています。

 

高尿酸血症になる理由は?

1日に体内で産生される尿酸はおよそ700mgです。1日で排泄される尿酸もおよそ700mgで、その内訳は、4分の3が腎臓から、4分の1が便や汗からとなっています。これらのバランスがとれているため、体内の尿酸は常に一定に保たれています。

しかし、体内で尿酸が過剰に産生される場合(例えば、食べすぎ)や、排泄される尿酸が減少する場合(例えば、腎臓の機能が悪い場合)にはこのバランスがくずれ、尿酸が体内に蓄積し、高尿酸血症となります。

 

高尿酸血症はなぜ悪いの?プリン体、痛風とは?

尿酸値が高いと痛風になりやすいと言われています。痛風の症状は「足の親指の付け根が死ぬほど痛い」といわれており、その名の通り、風にあたっただけで激痛 という場合もあります。

では、痛風にはどのような人がなりやすいのでしょう?

代表的には

  • お酒や砂糖入りの清涼飲料水をよく飲む患者さん。プリン体の多い食品をよく食べる患者さん
  • 激しい運動をすることがある患者さん
  • 肥満の患者さん
  • ストレスを抱えている患者さん
  • 痛風の家族がいる患者さん
  • 水分をあまり摂らない患者さん

と言われています。

尿酸とは「プリン体」が体内で分解されてできる燃えカスのようなものです。プリン体は運動したり臓器を動かすときに必要なエネルギーで、常に体内でつくられています。またプリン体は動物性の食品や植物性の食品のいずれからも体内に入り、主に肝臓で分解され、尿酸となります。

尿酸はある一定量までは血液に溶け込んでいるのですが、量が増えすぎると、血液中に溶け切らない尿酸が結晶化して関節にたまります。

運動をきっかけに結晶化した尿酸が関節内で剥がれ落ちると、それを敵とみなして白血球が集まってきます。白血球が攻撃を始めた時、炎症を起こす物質が出現し、これが痛みを引き起こし痛風発作となります。

痛風発作が治まって一旦痛みが引いても、関節に尿酸結晶がある限り再発する恐れがあります。

さらに尿酸が腎臓の中で沈着すると痛風腎となって腎機能低下をきたしますし、尿路に沈着すると尿管結石となって激しい痛みを起こします。。

 

高尿酸血症・痛風の予防・治療はどうするの?

痛風発作を起こしたことのある患者さんが再発を予防するためには、尿酸値を6.0mg/dl以下に抑える必要があります(血液検査での基準値の目安は、男性で3.8~7.5mg/dL、女性で2.4~5.8mg/dL)。

尿酸の血中濃度を下げないと、関節内にたまった尿酸結晶が溶けないからです。一方で痛風を起こしたことのない患者さんが目標にすべき尿酸値は明確には定まっていません。

しかし尿酸値が上昇するにつれて痛風の発症リスクが高くなることは確かです。高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは尿酸降下薬の開始基準を

  1. 血清尿酸値>7.0mg/dLで、痛風関節炎や痛風結節の既往がある場合。
  2. 血清尿酸値≧9.0mg/dLの場合。
  3. 血清尿酸値≧8.0mg/dL、<9.0mg/dLで腎障害や尿路結石などの合併症がある場合。この場合、患者さんごとに尿酸降下薬の適応があるかどうかを判断する必要がある。

としてます(下図参照)。

ひとたび痛風発作が起こってしまったら、急性期は尿酸値を下げる薬剤を使用すると痛みがひどくなる場合がありますので、ロキソニンなどの痛み止めや、ステロイドで痛みに対する治療療法を行います。

発作が治まったら、痛風の原因である高尿酸血症に対する治療を始めます。

生活習慣を改善しつつ、尿酸降下薬を少量から使い始め、徐々に尿酸を下げていきます(急に下げると、それが引き金となって痛風になる場合があります)。薬物治療で尿酸値が下がる場合が多いですが、油断せずに生活習慣を改善していく努力が必要になります。

 

尿酸が高くならないように、生活習慣ではなにを気をつけるか

①食べすぎに注意

肉や魚の内臓や干物にはプリン体が多く含まれるので、これらを食べ過ぎないようにしましょう。プリン体を多く含む食品は以下を参考にしてください。肥満になると尿酸を作りやすく排泄しにくい体質になりますので、適正な体重を保つことも重要です。

プリン体が多い食事、アルコール

②お酒はほどほどに

プリン体を多く含むビールだけでなく、プリン体オフのアルコールでも、アルコール自体に尿酸値を上げる働きがあるので尿酸値はあがります。飲みすぎないようにしましょう。

目安はアルコール25g程度です。

③水を2L以上飲む

たくさんの尿で尿酸を排泄するため、水やお茶を1日2L以上飲みましょう。砂糖を多く含む清涼飲料水は、逆に尿酸値を上げてしまうので、飲み過ぎに注意しましょう。

④ストレス解消を

ストレスは尿酸値を上昇させますので、自分にあった方法でストレスを解消しましょう。

⑤適度な運動を

ベンチプレスなど、息をこらえて行う無酸素運動は尿酸値上昇の原因になり得ます。新陳代謝が活発となり、尿酸値が急上昇するからです。ウォーキングやサイクリングなど、話ながらでもできるような有酸素運動で、肥満やストレスを解消しましょう。

 

尿酸の薬は一生飲まないといけない?

私は必要な場合に限り、最小限のお薬を処方することを心掛けております。

お薬を飲みつつ生活習慣の改善を根気強く続けることで、尿酸の値は改善することはしばしば経験されます。

生活習慣次第では尿酸の薬を中止、減量できる可能性は十分にあると考えますので、一緒に頑張りましょう。

 

■参考文献

Am J Med 82, 421-426, 1987

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 2018 

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