下の血圧が高いんだけど・・・
最近よく聞かれます。「上の血圧(収縮期血圧)はまあまあやけど、下の血圧(拡張期血圧)が高くないですか?」と。
ちなみに
・上の血圧(収縮期血圧)=心臓がが収縮して最も高くなった動脈内圧
・下の血圧(拡張期血圧)=心臓が拡張して最も低くなった動脈内圧 です。
頭の中は?? の方が多いと思いますので、深追いせず下のグラフをみてください。
上の血圧(収縮期血圧)は加齢に伴い上昇しています。一方で下の血圧(拡張期血圧)は、50歳代をピークにして、以降減少に転じます。
ざっくりいうと
若・中年者(およそ60歳未満)⇒下の血圧(拡張期血圧) が高くなりやすい
60歳以降⇒上の血圧(収縮期血圧) が高くなりやすい といえます。
では、若年者や中年者で下の血圧だけが高い場合(例えば、125/100のような場合)、治療すべきでしょうか?
答えは、確固たるエビデンスがでていない です。
なぜなら、下の血圧(拡張期血圧)をターゲットに降圧治療して、病気を防げた、寿命が延びた というデータに乏しいからです。そもそも、下の血圧(拡張期血圧)をさげようとすれば必然的に上の血圧(収縮期血圧)も下がりますし、心血管イベントの減少には下の血圧(拡張期血圧)の低下よりも上の血圧(収縮期血圧)の低下のほうが大きく関係していることがわかっています。
では、下の血圧(拡張期血圧)だけが高い場合、放置してよいでしょうか?
答えは、ノーと考えています。
若・中年者であるだけでなく、肥満・喫煙・高コレステロール血症・高血糖・メタボリックシンドローム・睡眠時無呼吸 も下の血圧(拡張期血圧)を上昇させます。
つまり、
下の血圧が高い=自分はまだ若い ではなく
下の血圧が高い=自分は若いが、生活習慣病(肥満・喫煙・高コレステロール血症・高血糖・メタボリックシンドローム・睡眠時無呼吸)にすでにかかっており、将来的に上の血圧も上がってしまい、本当に降圧薬が必要になる
と考えた方がよいです。
最期に、正しい血圧測定の方法は下の表の通りです。