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糖尿病の合併症

糖尿病を放置しておくと、血管や神経が次第に障害され、様々な症状がでてきます。合併症は急性合併症と慢性合併症に分類されます。

 

目次

急性合併症

慢性合併症

①細小血管合併症(糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症)

②大血管合併症(冠動脈疾患、脳梗塞、末梢動脈性疾患)

その他の合併症

 

急性合併症

糖尿病ケトアシド-シス、高血糖高浸透圧症候群、感染症、低血糖 など。

これらの状態に陥ると、基本的には入院加療が必要になります。

慢性合併症

慢性合併症とは、時間をかけてゆっくりと進行する合併症のことで、大きくわけて細小血管合併症と大血管合併症 にわけられます。

①細小血管合併症

代表的なものとして、糖尿病神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病腎症 があります。「し(神経)・め(眼)・じ(腎臓)」と覚えるようにしましょう。

♦糖尿病神経障害

一番有名なものは、足先や足の裏の痺れ、いたみ・足の裏に紙が貼りついたような異常な感覚・感覚が全くない という末梢神経障害です。感覚がとことんまで鈍くなると、熱い・冷たい・痛い・触っているなどの感覚が鈍くなり、怪我をしたことにも気づかない という状態になります。

また、自律神経障害といって、立ち眩みや失神、発汗異常、便秘、尿閉、勃起障害、胃の蠕動低下(消化不良) などをきたす場合もあります。

神経障害の発症、予防にはHbA1c7%未満を維持することが最も重要です。

しかし血糖コントロールを急速に改善しすぎると一時的にしびれの症状が強くでることがあり、症状の改善に半年~1年間を要します。

♦糖尿病網膜症

眼球の一番奥(眼底)は網膜といい、光を感じる神経細胞がたくさん並んでいます。

血糖が高い状態が続くことで、網膜に栄養を与える細い血管が動脈硬化でボロボロになります。網膜症は血糖コントロールが悪いと徐々に進行しますが、視力をつかさどる部位が障害されるまで、自覚症状として感じることが少ないといわれています。単純網膜症は自覚症状がなく、前増殖網膜症でも視界がかすむ程度で、ほとんど症状がありません。増殖網膜症は、極端な視力低下や黒いものがちらつく(飛蚊症)といった症状があり、突如として失明に至ることもあります。糖尿病網膜症は、成人の失明原因の第2位となっています。

網膜症の発症、予防にも血糖コントロールが最も重要です。

しかし増殖網膜症の状態になるとレーザー光凝固術を行ったり、網膜剥離や視力低下をきたすと、緊急で硝子体手術を行うこともあります。

 

♦糖尿病腎症

糖尿病を放置していると、腎臓の濾過機能が正常に働かなくなり、本来は必要な蛋白質が尿から漏れ出てしまいます。

いわゆる蛋白尿です。最初は尿にタンパクが出てきますが症状はなく、進行するとむくみが起こり、最終的には腎不全になり透析が必要になってしまいます。

透析の原因の第一位は糖尿病性腎症です。

腎症の早期発見のためには、尿の中にでてくる微量のアルブミンを尿検査でチェックすることが重要です。

興味がある方は、慢性腎臓病のページにも詳しく書いておりますので、参照ください。

②大血管合併症

代表的なものとして、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳血管疾患(脳梗塞)、末梢動脈性疾患(閉塞性動脈硬化症)があります。糖尿病患者さんの脳や心臓に梗塞が起こる確率は、健康な人より2~3倍高いといわれています。

♦冠動脈疾患

冠動脈とは簡単にいうと、心臓に栄養を運ぶ血管のことをいいます。

冠動脈疾患には狭心症と心筋梗塞があります。胸痛を自覚症状としますが、糖尿病の神経障害が進行している場合には心筋梗塞を起こしてむ痛みを感じないことがあります(無痛性心筋梗塞といいます)。冠動脈が複数箇所ダメージを受けることも多く、心不全を合併しやすく死亡率が高いといわれています。

カテーテル治療で治療できる場合もありますが、複数の冠動脈がダメージを受けている場合や、主要な冠動脈がダメージを受けいている場合は心臓のバイパス手術を受ける必要がでてきます。

♦脳梗塞

脳の血管が詰まり、脳の血液循環が悪くなることで、脳組織の酸素欠乏や栄養不足になる疾患です。アテローム血栓性脳梗塞や、比較的小規模の脳梗塞が多発するラクナ梗塞という脳梗塞が多いといわれています。

また糖尿病患者様は心房細動という不整脈を起こしやすく、心房細動のせいでおこる脳梗塞(塞栓性脳梗塞)は一度の脳梗塞で寝たきりになるほど障害が大きく残ることがあります。

♦末梢動脈性疾患

四肢動脈の粥状硬化で血管が細くなったり閉塞が原因の疾患です。症状は、下肢の冷感・しびれ・間欠性跛行・安静時疼痛・下肢の抹消の潰瘍や壊死などがあります。壊疽や下肢切断の原因になる疾患です。

 

その他の合併症

白内障、 認知症 、歯周病、骨粗鬆症、一部の癌(膵臓がん、肝臓がん、大腸がん)などがあります。

 

当院では、糖尿病の合併症を早期に発見し、早期に治療することを心掛けております。

当院ではできない検査については、近隣総合病院と密な連携をとっておりますので、ご安心ください。

 

■参考文献

糖尿病専門医研修ガイドブック

糖尿病ネットワーク

 

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