花粉症、アレルギー、舌下免疫療法
目次
花粉症とは?
花粉症はいまや国民病と言われるくらいポピュラーな疾患です。花粉症の実態はスギやヒノキなどの花粉に対するアレルギー症状により、くしゃみ、鼻汁、鼻閉、眼のかゆみ、目の周りや結膜の発赤、流涙、襟足や顔面の赤み、かゆみ、腫れなどの皮膚症状、頭痛、微熱、倦怠感などの全身症状などがおこるものです。特に鼻や眼の症状は多かれ少なかれ必発と言われています。症状の推移は花粉飛散と連動しますが、個人個人の症状の程度、種類はさまざまであり、一様ではありません。
別名、「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれ、患者さんの数は年々増えています。
花粉症は初期治療が大切です。予想花粉飛散開始日より2週間前より経口薬の内服を開始すると、季節初期の症状がよく抑えられることが、試験で証明されています。
一般的に花粉が飛散しだすのは2月半ばから3月と言われていますので、2月上旬~半ばには内服を開始することが望ましいと考えられます。当院でも内服薬や点鼻薬、点眼薬の処方は可能ですし、原因を調べることもできますので、気になった方はお気軽にご相談ください。
花粉症の症状は?
典型的な症状☞充血、かゆみ、鼻水、鼻づまり、くしゃみ など
典型的ではないがありえる症状☞皮膚のかゆみ、頭痛、倦怠感
花粉症は患者さんはどれくらいいるの?
最近は10~20人に1人が花粉症を発症している といわれています。かつては20~30歳代の女性に多く発症すると思われていましたが、幼児にも多くみられるようになってきました。
また60歳以上の年齢の方にも増えてきているのが現状です。
2022年 春の花粉飛散予測は?
<日本気象協会ホームページより>
例年比で見ると、兵庫は例年より少ない見込みですね。
また、前シーズン比で見ると、兵庫の飛散量は少ないようです。
2022年 花粉の飛び始めは?ピークは?
2月9日~14日にかけて九州地方全域でスギ花粉の飛散がはじまりました。
大阪では2月下旬には飛散開始となる見込みです。
花粉症の対策は?
①外出時
花粉の付着をできるだけ防げる服装を心掛けましょう
- メガネ・マスク・つばの広い帽子を身につけましょう
- 毛足の長い衣服は避け、表面がツルツルとした素材の服を着用しましょう
- 上着や長ズボンなどで肌の露出を少なくしましょう
②外出から帰ったら
- 帰宅後は衣服や髪の毛から花粉を必ず払い落し、室内に持ち込まないようにしましょう
- 手洗い、うがいを毎回行いましょう
- 洗顔で顔に付着した花粉を落としましょう
- 眼も洗いましょう
③部屋の中で
- 外に干した洗濯物や布団は、外で花粉を払い落してから室内に入れましょう
- 濡れ雑巾やモップなどで床の掃き掃除をしましょう
- 花粉の飛散量が多い日は、必要以上に窓をあけないようにしましょう
④薬は早めに飲む
花粉が本格的に飛び始めるシーズンより2週間ほど前に薬を飲み始めると効果的です。
毎年症状に悩まされている人は、早めに相談してください
花粉症に使われるお薬
症状によって軽症、中等症、重症、最重症と分類され、第二世代抗ヒスタミン薬、遊離抑制薬、局所ステロイド薬、ロイコトリエン拮抗薬などの薬剤を組み合わせて治療を行います。
くしゃみ、鼻水タイプ
原因:ヒスタミンが、鼻の粘膜にある知覚神経を刺激するため、くしゃみや鼻水が起こります。目のかゆみも、ヒスタミンによるものです。
治療薬:抗ヒスタミン薬(ビラノア®、ザイザル®、デザレックス®など)、鼻噴霧用ステロイド薬(ナゾネックス®点鼻、アラミスト®点鼻など)
鼻づまりタイプ
原因:ロイコトリエンが、血管を拡張させるために、鼻の粘膜が腫れて、鼻づまりとなります。
治療薬:抗ロイコトリエン薬(オノン®、シングレア®、キプレス®)、鼻噴霧用ステロイド薬など
目のかゆみ
目のかゆみ、涙目や充血がみられる場合は、抗ヒスタミン薬などの目薬を使用します。抗ヒスタミン薬などの点眼薬は即効性がありますが、使いすぎは結膜充血などの副作用を引き起こしかねません。1回の滴数や1日の点眼回数を必ず守りましょう。
例)アレジオン点眼、パタノール点眼、ザジテン点眼
上記の治療で症状の改善しない重症の花粉症に対して、必要に応じてステロイド内服治療(セレスタミン®、プレドニン®)を行います。ステロイドの内服は副作用(免疫低下、骨粗鬆症、胃潰瘍の可能性、不眠、白内障など)を伴いますので、短期間の使用にとどめるべきと考えます。
花粉の飛散が多い日っていつ?
- 天気が良くて、気温が高い日
- 午前中
- 風が強い日
- 前日が雨の日(雨で落ちた花粉が、翌日になって再び飛散するため)
花粉症と風邪のみわけ方
花粉症 | 風邪 | |
鼻水 | 透明で薄い鼻水 | 透明で薄い鼻水~粘り気のある鼻水 |
くしゃみ | 発作のように7~8回続けて出る、1日に何度も発作が起こる | 1度に3~4回程度 |
目のかゆみ | ある | なし |
のどの痛み | ほぼなし | あり |
天候による変化 | 晴れた日に症状がひどくなる | なし |
舌下免疫療法について
治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。
「舌下免疫療法」は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。
長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。
症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。
当院では
スギアレルギー☞シダキュア
ダニアレルギー☞ミティキュア が処方できます。
■参考文献
日本気象協会ホームページ
アレルギー総合ガイドライン2019