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帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹とは?

帯状疱疹はどれくらいの患者さんがなっているの?

帯状疱疹になる理由は?

帯状疱疹はなぜ悪いの?帯状疱疹後神経痛とは?

帯状疱疹の治療はどうするの?

帯状疱疹の予防はどうするの?

シングリックスの特徴

過去に帯状疱疹を発症した人でも、シングリックスは意味あるの?

帯状疱疹は、ほかの人に移りますか?

帯状疱疹にかかったら休養はいつまでするの?

痛いときは冷やすの?温めるの?

帯状疱疹とは?

水痘・帯状疱疹ウイルスの活性化により、水ぶくれを伴う赤い発疹が体の左右どちらかに帯状に現れます。

強い痛みを伴う場合が多く、皮疹は3~4週間ほど続きます。多くは下の図のように、上肢~胸、背中にでやすいですが、顔面に現れることもあります。

その後PHN(帯状疱疹後神経痛)として痛みが残ることもあります。

帯状疱疹はどれくらいの患者さんがなっているの?

以下に示すのは宮崎県において実施された、国内初の帯状疱疹患者に関する大規模疫学調査、「宮崎スタディ」の結果です。

年齢別の帯状疱疹発症数及び発症率をみると、10代に小さなピークがあり、その後は減少して50歳以上で急激に増加し、発症数は60代、発症率は70代がピークになることが示されました。

帯状疱疹患者さんの約7割が50歳以上です。そして、日本では80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になる といわれています。

 

帯状疱疹になる理由は?

幼い時に、多くの日本人が水ぼうそうを発症します。この時の原因ウイルスが、水痘・帯状疱疹ウイルスなのです。

水ぼうそうが治った後もこのウイルスは長い間、体内に潜んでいますが、普段は人間の免疫力によって活動が抑えられています。

しかし、人間が加齢やストレスなどで免疫が低下すると、今まで抑えられていたはずのウイルスが暴れだします。

結果、ウイルスは神経に沿って移動し、皮膚に到達し、帯状疱疹を発症します。

 60歳代を中心に50歳代~70歳代に多くみられる病気ですが、過労やストレスが引き金となり若い人に発症することも珍しくありません。

通常は生涯に1 度しか発症せず、免疫が低下している患者さんを除くと再発することはまれです(約6%は再発する)。

帯状疱疹はなぜ悪いの?帯状疱疹後神経痛とは?

1ヵ月後には約70%の、3ヵ月後には約90%の患者さんの痛みはなくなります。

しかし帯状疱疹の皮膚症状が治まったあとも、何か月、時には何年も痛みが残ってしまう帯状疱疹後神経痛(PHN)があります。

帯状疱疹の痛みとしては例えば

  • 痛みがひどくて身体を動かすことができない
  • 顔や首の発疹が気になって外出できない
  • 痛くて家事や仕事ができない、眠れない

などの症状があります。

この病気が命にかかわることはほとんどありませんが、その特徴的な症状である「痛み」が問題となり、苦痛と不安のため、患者さんは精神的にもつらい思いをされています。

帯状疱疹の治療はどうするの?

治療は、抗ヘルペスウイルス薬を中心に行われます。抗ヘルペスウイルス薬はウイルスの増殖を抑えることにより、急性期の皮膚症状や痛みなどをやわらげ、治るまでの期間を短縮します。さらに合併症や後遺症を抑えることも期待されます。

発症後なるべく早期に投与を開始することが大切です。
一般に多く使われているのは、内服薬です。重症の場合には入院して点滴することもあります。

抗ウイルス薬は、効果が現れるまでに2~3日かかります。

帯状疱疹による痛みは、生活の質(QOL:Quality of Life)にも影響するため、積極的な治療が必要です。
治療は、発症からの時期や症状に応じて行います。薬物療法が中心ですが、症状によっては神経ブロック(神経や神経の周辺に局所麻酔薬等を注入し、神経の働きを抑える治療法)を行うこともあります

帯状疱疹の予防はどうするの?

帯状疱疹は、加齢とともに免疫力が低下することで発症しやすくなります。一度発症すると免疫ができるため、通常は一生に1回しかかかりません。ただし、数パーセントの人で2回発症することもあると言われています。ワクチンを接種すると、免疫力が高まることで、発症や重症化を抑えることができます。

50歳以上の方は、時期を問わず、ワクチン(シングリックス®)を接種いただけます。

予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽く済むため、私はワクチン(シングリックス®)の予防接種を強くおススメします

シングリックスの特徴

帯状疱疹発生抑制効果 50歳以上 97.2%
70歳以上 89.8%
帯状疱疹後神経痛抑制効果 50歳以上 100%
70歳以上 85.5%
接種方法/回数 筋肉注射/2回
接種間隔 1回目の接種から2か月後に
2回目の接種を行う。
※2か月を超えたら6か月後までに2回目の接種を行う。
適用年齢 50歳以上
費用 50,000円(税込)
※2回分の費用合計
 1回分は25,000円
副反応 接種部位の痛み、腫脹、発赤、筋肉痛、倦怠感、頭痛
※3日~7日で消失
※水痘ワクチンより副反応が強く出る可能性あり
長所・短所 長所
・予防効果が高い
・免疫低下している方にも接種できる
短所
・費用が高い
・接種回数が2回
・副反応が比較的強い

過去に帯状疱疹を発症した人でも、シングリックスは意味あるの?

はい、意味があります。1度帯状疱疹になっても、体の免疫が低下すると再度、帯状疱疹にかかる可能性があります。実際には一度帯状疱疹になっても約6%に再発が認められていますので、再発を予防する意味でもシングリックス接種をして免疫力を高めておくことが必要と考えられています。

帯状疱疹は、ほかの人に移りますか?

周囲の人に帯状疱疹としてうつることはありません。しかし、水痘ワクチンを接種しておらず、水ぼうそう(水痘)にかかったことのない乳幼児には水ぼうそうを発症させる可能性があります。

帯状疱疹にかかったら休養はいつまでするの?

皮膚にできた水ぶくれが乾いたら、病気になる前の生活に戻しましょう。

痛いときは冷やすの?温めるの?

 個人差もありますが冷やすと痛みが増すことがあります。心地よい程度に温めると、痛みも和らぐことが多いようです。
ただし、使い捨てカイロなどを直接肌に貼るのはヤケドを起こす原因になりますので、やめましょう。

また、湿布薬もかぶれを起こすことがあるので、避けてください。

■参考文献

N Engl J Med.372,2087-2096,2015

N Engl J Med.375,1019-1032,2016

N Engl J Med, 352: 2271-2284, 2005

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