在宅酸素
目次
在宅酸素療法とは?在宅酸素療法はどんな時に必要?
通常、呼吸によって酸素は体内に取り込みます。呼吸機能がうまく働かないと、体の中に酸素を十分に取り込めなくなり、このような状態を呼吸不全と呼びます。
慢性呼吸不全を引き起こす主な病気には、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺結核後遺症、肺線維症(間質性肺炎)、肺がんなどがあります。
これらの疾患があったり、以下の条件に当てはまった時に、在宅酸素療法(自宅で酸素吸入を行う治療)が可能となります。
- 1.在宅酸素療法の対象疾患は、高度慢性呼吸不全例、肺高血圧症、慢性心不全、チアノーゼ型先天性心疾患および重度の群発頭痛の患者である。
- 2.高度慢性呼吸不全例のうち、対象となる患者は在宅酸素療法導入時に動脈血酸素分圧55mmHg以下の者および動脈血酸素分圧60mmHg以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症を来す者であって医師が在宅酸素療法を必要であると認めた者。
- 3.慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されている症例とする。
- 4.群発頭痛の患者のうち、群発期間中の患者であって、1日平均1回以上の頭痛発作を認める者。
実際は高度慢性呼吸不全の症例が多く、原因のうち、肺気腫(COPD)が45%、肺線維症・間質性肺炎・じん肺等が18%、肺結核後遺症が12%程度となっています。
在宅酸素をする理由は?
慢性呼吸不全が進行すると、呼吸困難によって日常生活に大きな支障をきたすようになります。また血液中の酸素が不足したままの状態が長引くと、肺以外の臓器に負荷がかかり、高血圧や心不全、脳卒中、狭心症、急性心筋梗塞などの合併症を引き起こす危険が出てきます。
在宅酸素療法を実施することで息切れなどの症状が改善されたり、外出や社会復帰が可能になるなどの生活の質が向上し、それに伴って寿命が延びることも期待できます。また入院日数が減るというデータもあります。
在宅酸素はどうやって導入するの?
慢性呼吸不全や慢性心不全等の患者様に対し、問診や検査等により主治医が、総合的に在宅酸素療法が必要と判断した場合に導入されます。
健康保険が適用されますが、そのためには原則月1回の外来、もしくは往診での受診が必要となります。
在宅酸素の費用は?
在宅酸素療法で使う装置や酸素、装置のメンテナンス費などは医療保険の対象となります。
1割負担の場合は毎月7,680円、2割負担は15,360円、3割負担の場合は23,040円がかかります。
高額療養費制度や高額医療・高額介護合算療養費制度を利用することで負担金が軽減できる場合があります。
旅行は可能?
主治医に相談の上、旅行は可能です。
宿泊時にはあらかじめ酸素供給装置を宿泊場所に設置して使用するため約2週間前の手続きをお願いします(詳細は在宅酸素の供給業業者に問い合わせれば、教えてくれます)。
公共の交通機関をご利用時には禁煙車・禁煙席の使用になります。
たばこは吸っても大丈夫?
酸素は火が燃えるのを助ける働きがあり、重大な事故につながる可能性がありますので酸素療法を行う上でタバコは厳禁です。
タバコは様々な有害物質を含んでおり、自分のみならず周りにも悪影響を及ぼしますので、絶対に吸わないようにしましょう。
■参考文献
TEIJIN medical web