多汗症について、わき汗の治療薬でました
当院でもようやくわき汗の治療薬「エクロックゲル」、取り扱い始めました。
これを機に、多汗症とその治療について述べたいと思います。
目次
・副作用
原発性腋窩多汗症について
原発性腋窩多汗症は、汗の量が多くなる原因となる病気や障害がないのにもかかわらず、日常生活に支障をきたす程の過剰な発汗が腋窩から認められる疾患です。
厚生労働省の疫学調査によると、わき汗の有病率は5~7.5%、発症年齢は19.5歳でした。
以下の6症状のうち2項目以上あてはまる場合を「原発性腋窩多汗症」と診断しています。
- 最初に症状がでるのが25歳以下であること
- 左右両方で同じように発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1週間に1回以上多汗の症状がでること
- 家族にも同じ疾患の患者さんがいること
- わき汗によって日常生活に支障をきたすこと
エクロックゲルとは
エクロックゲル5%は、原発性腋窩多汗症用として日本で初めて保険適用となった外用剤です。
1日1回、脇の下に塗布することで、エクロックゲルの有効成分であるソフピロニウム臭化物が、多汗症の原因となるエクリン汗腺の発汗を誘発するアセチルコリンの働きを阻害し多汗症を抑制します。
これまでの原発性局所多汗症の外用薬は塩化アルミニウムが第一選択でしたが保険適用ではありませんでした。
エクロックゲル5%は日本で初めて保険が通った脇汗治療の外用薬となります。
エクロックゲルは
・汗の量が多い(多汗症)
・服の汗じみが気になる
・緊張で汗が止まらない
・汗をかくとワキの臭いが気になる
このような患者様におすすめです。
使用方法、お値段
上記のように、薬液をわき全体に塗り広げるだけですので、難しくはありません。
エクロックゲル1本で約14日間の外用量に相当します。
お値段は3割負担の方で、1本約1460円となります。
もっとも効果が発現できるのは外用後4時間です。
また80%の患者様で汗が抑えられ、60%の患者様が日常生活に支障が無くなる程度まで改善しました。
効果が出るまでの期間も2週間と比較的早いことも嬉しい点です。
ただし、効果を持続させるためには継続が必要です(ただし、冬など汗のかきにくい時期は休薬してもよいかもしれません)。
副作用
主な副作用として、皮膚炎、紅斑、かゆみ、湿疹などが報告されています。
またエクロックゲルを触った手で眼を触ると羞明(物がまぶしく見える)、霧視(物がかすんで見える)、散瞳(瞳孔が開いてまぶしくなる)等の眼の調節障害があらわれることがあります。
他の部位(例えば手のひら)の多汗症治療
現在のところ、エクロックゲルはわき汗の治療にしか保険が通っておりませんので、これまで通りわき汗以外の多汗症については、塩化アルミニウム溶液が用いられます。